もっと酷い子がいますよ 11

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あんまり詳しく説明すると生々しいのでざっくりと書きますがストリップというのは踊り子と呼ばれるダンサーが音楽に合わせながらダンスを踊り、踊りすがら衣装を一枚一枚脱いでいくというものです(ダンスのあと、いったん引っ込んで薄着で再登場のパターンもあり)。複数の踊り子さんが同時に踊るポールダンスや踊り子さん二人が濃厚に絡み合うレズショー、ラストはトリと呼ばれる一番人気の踊り子さんの一人舞台…うーん、ざっくり書いても生々しいですね。

ヤマダの仕事は雑用全般。掃除や踊り子さんの使いっ走り、天井近くに設えられた細い渡り廊下から「投光」と言われる照明装置で舞台や花道で演技する踊り子さんを照らします。赤や紫で妖しい雰囲気を出したり、ここ一番でスポットライトを当てたり。照明とは言ってもハンドルでがちゃがちゃ色を変えて踊り子さんに当てるだけ。あとは「香盤」という舞台進行表を見ながらBGMに合わせてONとOFFのスイッチを切り替えていきます。

当然、踊り子さんは最終的には全裸に近い状態になるので始めのころは「ぬっ、ぬおおっ!こっ、コレはまたっ…」といちいち悶えながら照明を当てていたのですが、セクシーな踊り子さんに見とれて照明のタイミングを間違えたりするとアイロンパーマのマネージャーから凄く怒られるし、人間はやはり刺激に慣れて行くもののようで、ヤマダはアルバイト3日目くらいには極めて冷静なライトワークをこなせるようになっていました。

「香盤」が一巡すると、それが一公演となり、次の公演まで20分くらいの休演となります。もちろんその間もアルバイトは休めるわけもなく、照明場所から客席へと階段を駆け下ります。 ちり取りとほうきを持って、居残り客(一度料金を払えば一日中いてもよいシステムでした)をよけながら客席のあちこちに落ちているゴミを集めるのです。

たったの一公演で有り得ない量のゴミが発生します。食べ物の容器や酒の空き缶も去ることながら、閉口したのは夥しい数の使用済みティッシュでした。男性のぬめった欲望を安価で手軽に処理できる空間なのですから当然といえば当然ですが、あの生臭さには最後まで慣れることはできず、アルバイト中もっとも憂鬱な作業でした。

反対に楽しかったのは踊り子のお姐さんたちが可愛がってくれたこと。楽屋の雑用はボーイさんやモリキがやることが多かったのですが、ボーイさんのシフトのズレでヤマダが入ることもありました。おつかいのお釣りをチップにもらったり、かっぱえびせんを一緒につまみながら「せーちゃんはよく働くねぇー。それに比べてウチのはさー」と内縁の旦那さんのグチを聞かされて曖昧な相槌をうったりするのは、なんだか自分がオトナの仲間入りをしたような錯覚を感じさせてくれたものでした。

バイト代は3時間で4500円と当初モリキから聞いていた金額より少なめでヤマダは社会の世知辛さを軽く味わうことになりましたが、行けばすぐに働けて給料は即払い。短時間でお金を稼げるのは魅力的で週に2、3回バイトをして遊ぶお金を調達することができたのでした。

遊ぶお金はなんとか作ることができたのですが、皮肉にもヤマダはその頃すでにクラブやバーで騒ぐようなお金のかかる遊びにちょっと飽きていました。ガソリン代と食事代があれば事足りるようになり、やっぱり楽しいのはリュウヤとバイクで出掛けたり、彼が住んでいたロフト付きのワンルームマンションでミッシェルやブランキーを聴きながら眠くなるまで語り合うことでした。

リュウヤとヤマダがファミリーレストランやリュウヤの部屋にいるとき、よく遊びに合流してくる女の子がいました。

リュウヤとは幼なじみのハルカという綺麗な女の子にヤマダは瞬く間に恋に落ちてしまうのです。


(いつ終わるんだコレ…)つづく
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by crabclub | 2014-08-28 11:53 | 日記

髪を切ったりギターを弾いたりしています。


by 天丼で鉄板

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