もっと酷い子がいますよ 8

シリーズものです。第7話 第6話 第5話 第4話 第3話 第2話 第1話



ブランキージェットシティが解散するころの照井利幸を彷彿とさせるリュウヤのルックスや振る舞いは映画から飛び出してきた不良少年そのもので、高校を出たばかりのおぼこい世間知らずのヤマダは強烈な憧れを彼に抱いていました。

彼は彼で夜に呑んで騒ぐ仲間はたくさんいたものの、オートバイや音楽の話ができる友達はあまりいなかったようで、ヒロトやベンジーやチバユウスケのかっこよさを語ることができるヤマダのことを気に入ってくれていたみたいでした。

伊勢佐木町にあったそのお店はショットバーのような小さなクラブのような不思議な空間で、色とりどりの照明が明滅し、耳を劈く音量でビルボードのヒットチャートが流れ、そこかしこで嬌声があがっていました。

完全に場違いな予備校生(長期欠席中)は通り過ぎる人々にいちいちぶつかってコマのようにくるくる廻りながら彼を探します。

いちばん奥の大きなボックス席に男女10人ほどのグループが陣取っています。男性は屈強な身体にタトゥーやごついシルバーアクセサリーを纏い、女性たちは目のやり場に困るような露出度の高いファッションをしていました。

ヤマダがもっともお近づきになりたくないグループの中心にリュウヤはいました。

とてもじゃないけどこんなワイルドでデンジャラスな取り巻きをかき分けて彼に声をかける勇気はありません。酸欠の金魚みたいに口をぱくぱくさせて立ち尽くしているとリュウヤがヤマダに気付いてくれました。

「セイリュウ!来てくれたのかよー!」

わー!なんか嬉しそう!名前も憶えてくれてるー!

ワイルドなガイとセクシーなガールをかき分けながらこっちに向かってきたリュウヤはカウンターの方を指差します。よ、よかったー。ソファに招き入れられてあのデンジャラスなグループの中に放り込まれたらどうしようかと思ったー。

ハードな見た目と豪胆な性格によらず彼はそういう細やかな気遣いができる男でした。

リュウヤと再会してから約4ヶ月間。たったの4ヶ月でしたが、今でも鮮明に心に焼き付く濃密な日々が始まることになろうとは、生まれて初めて呑むモスコミュールに気持ち悪くなっている予備校生には知るよしもなかったのです。

つづく
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by crabclub | 2014-08-18 17:23 | 日記

髪を切ったりギターを弾いたりしています。


by 天丼で鉄板

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